【 県民活動団体 財政・運営基盤強化セミナー 】ポポメリー代表 藤本育栄さんインタビュー

長引くコロナ禍による活動制限などが続き、各団体における財源確保や情報発信においてICTを活用した新たな取組が求められる中で、令和4年7月~5年1月に、県民活動団体の活動を支援する山口県が「県民活動団体 財政・運営基盤強化セミナー」を開催しました。

[ → 県民活動団体 財政・運営基盤強化セミナー 案内チラシ ] 

このセミナーに参加したポポメリー代表 藤本育栄さんに、ご自身の団体での情報発信と財政基盤強化の取組についてお聞きしました。

ポポメリーについて教えてください

ポポメリーは、がんになっても自分らしく前向きに生きられる社会を目指して立ち上げた団体です。自分自身ががんを経験した看護師だからこそ伝えられること、できることを生かして、一人で悩むがん患者とその家族が、地域の中で仲間と出会いつながって、がんに関する情報と知識を広げ支えあえるよう、社会の中でがんに対する理解と支援がもっと広がるよう、座談会、啓発活動、ピアサポート(同じような経験をした人同士の支え合い)などを行っています。

情報発信については、どのように取り組んでいますか?

活動をすると決めたばかりの頃、当時県が開催していた女性創業セミナーに参加したり、県民活動支援センターや市民活動センターなどの中間支援組織の方に相談したりしていました。その中で、まず大事だとアドバイスいただいたのが、私のしたいことや思いについて、きちんと情報発信するということでした。

イベントに参加してくださった方などがどんなツールで情報収集しているかを聞いたり、中間支援組織の方にそれぞれの特徴や使い方を教えてもらったりしながら、少しずつアカウントを立ち上げました。

今ではFacebookページ、Instagram、LINE公式アカウント、CANPANブログ、Twitterと、見てくださる方や情報の内容によって使い分けながら発信しています。

団体の思いや活動のことだけでなく普段の生活の中でのことなども記事にしながら、コツコツと更新を重ね、少しずつフォロワーが増えてきました。更新作業をできるスタッフが多くないので苦労する面もありますが、SNS間の連携機能活用やcanvaの使い方、動画制作の仕方など、様々なアドバイスをいただきながら、できるだけ効率的に、でも様々な方にしっかり届くよう運用していきたいと思っています。

ポポメリーには素敵なウェブサイトもありますね

[ → ポポメリー ウェブサイト ]  

団体への信頼性を高めるためにはウェブサイトも必要だということで、県の事業(※)を活用し、専門技術をお持ちの方にプロボノワーカーとして協力いただいて作成しました。

※山口県では、「Ki・Te・Neやまぐちプロボノ推進コンソーシアム」において、地域課題に取り組む団体とプロボノワーカーとをつなぐ取組を行っています。
[ → Ki・Te・Neやまぐちプロボノ推進コンソーシアム ]

何度も対話を重ね、誰が見てもわかりやすいサイトにしたい、自分たちの思いを自分たちの言葉で伝えられるものにしたい、という希望を実現できるサイトにしていただけて、とても感謝しています。

プロボノワーカーさんがボランティアで協力してくださるのは、“技術やスキルの寄付”と同じです。こうした“プロボノ寄付”は、私たちの活動を理解し、共感してくださるからこそいただけるものだと思いますし、共感していただくためには、これまで情報をしっかり発信してきたこともよかったのだと思います。

ウェブサイト作成以外にサポートを受けていることはありますか?

イベント時の出店や協賛、売上の一部寄付など、様々な形でご協力いただける企業様が増えてきました。その中には、全国規模の大手企業や女性創業セミナーで出会った女性創業者など、様々な方がいます。

プロボノワーカーさんのご協力と同じように、企業様からこうしたご協力をいただけるのも、私たちの思いを共有し、共感いただけるからだと思います。

思いを共有・共感して共同することで、より充実した取組ができます。私たちで言えば、がん患者さんの支援を充実させることにつながりますので、とてもありがたいです。

活動を支える財源はどのように確保していますか?

私たちの活動は、助成金等と寄付金を中心に成り立っています。
助成金等については、山口きらめき財団の助成金や、山口県が令和2年に行った頑張る県民活動団体応援事業補助金など、中間支援組織にサポートいただいて申請してきました。

寄付金では、個人の方からの寄付に加え、企業様からの寄付もお寄せいただけるようになってきました。ただ、任意団体のため寄付してくださった方にとって寄付金控除の対象とならず、私たちにとっても事務処理手続き上の負担が多くなってしまうという事情もありました。今後の財源確保を考えた時、団体への直接寄付への依存を高めることは少し難しい状況でもありました。

そんな時に出会ったのが、社会福祉法人山口県共同募金会が行う赤い羽根テーマ募金でした。

[ → 社会福祉法人山口県共同募金会 ] 

赤い羽根テーマ募金とはどのようなものですか?

有名な「赤い羽根共同募金」は、さまざまな地域福祉の課題解決に取り組む民間団体を応援する取組で、全国的なテーマで行う助成プログラムなど様々なメニューがあります。
その中で今回の「赤い羽根テーマ募金」は、山口県や県内市町の課題解決に取り組む団体を地域の方に直接応援いただける仕組みとして、社会福祉法人山口県共同募金会が助成団体を募集したプログラムです。

プログラムに採択されると、私たち自身で広報するのはもちろんですが、県共同募金会でも私たちが取り組む課題についてアピールしていただけます。
日頃私たちの情報に触れていただく機会がない方に、私たちの課題や活動について知っていただくことができますし、私たちの団体への信頼が高まることにもつながりますので、この点だけでも今後の事業展開に大きな効果が得られると思いました。

また、募金の募集・受け入れ等に関する業務も行っていただけるので、事務的なサポートという意味でもありがたいです。このプログラムを活用させていただくことができたことは、大変感謝しています。

採択いただいた令和4年度募金期間は、令和5年1月から3月末までの3か月間です。せっかくいただいたこのチャンスをしっかり生かし、目標額も達成できるよう、私たち自身でも精一杯広報していきたいと思います。

今後の活動についてどのように考えていますか?

私がポポメリーの活動を始めたのは令和2年で、コロナ禍の始まりと同じタイミングでした。
様々な制限がある中でどのように活動を行っていくか繰り返し相談し、当初は想定していなかったZoomを使ってのオンラインコミュニケーションを始めることとなりました。

今では活動3年目に入り、徐々にリアル開催を増やし、オンライン開催は減らしていますが、県外から参加される方もいらっしゃいますし、ネット検索で見つけて遠方から問い合わせてくださる方も増えてきています。立ち上げ当時必死にオンライン開催をしたことと、地道に情報発信に力を入れてきていることがつながり、私たちの活動がより多くのがん患者さんに届いているようにも感じています。

リアルもオンラインも、それぞれの良さを生かした取組を並行して続けていきたいと考えています。

また、がん患者さんが抱える悩みや課題を地域の中で解決するためには、若い世代の方や子どもたちも含めて社会全体でもっと多くの方がこの課題について知り、自分ごととして考え、行動していただくことが必要だと考えています。

そのためにも、私たちはこれからさらにがん患者への充実した支援活動となるよう財政基盤を整えて、情報をしっかり発信し続けていきたいと考えています。

ポポメリー藤本さんからのメッセージ

最後に、皆さまへのメッセージをいただきましたので、動画でお聞きください。

(インタビュアー:NPO法人やまぐち県民ネット21事務局長 船﨑美智子)