Kizuku Project

中岡 佑輔さん(山口市) 2019年度奨励賞受賞

Q1.現在の事業内容について教えてください。

コンテストで受賞した害獣対策の一環として駆除した鹿の革を副産物として活用した商品開発事業の他、Nature Stockという名前でのジビエメニューのキッチンカー運営、活動に関する周知活動などにも取り組んでいます。

Q2.コロナ禍でどのような苦労がありましたか。

特に2020年は先が見えない状況で必需品以外の物を買っていただきにくくなったことに加え、イベントが中止になるなどで販売機会も減少してしまいましたので、私のようにものづくりをする作家にとっては、特に厳しい状況だったように思います。

ただ、その厳しい状況が、どこで何をしたいのか、といった活動の目的を改めて考え直し見極めるキッカケにもなり、新たな目標を見つけ、挑戦することもできました。

Q3.事業を継続する上で、今困っていることはありますか。

製作の原材料である山口産の鹿皮の安定的な確保が難しいのは悩みの種です。獣害対策の副産物である以上、工業製品のように安定的計画的に入手できないのはやむを得ないことでもあるのですが、活用されずに遺棄される資源を生かし、高品質な革への加工先の確保など工夫をしながら、山口県産の皮にこだわって使っていきたいと思っています。

また、革製品の製造販売の他に取り組む事業がコンテストのころよりもかなり増えたこともあり、事業ごとの力の入れ方のバランスにも苦慮しているところです。

Q4.今後、どのような事業を展開して行きたいですか。

私が害獣対策の活動について知ったのは、3年前に地域おこし協力隊の隊員として神戸市から山口市に移住してからでした。以前革に関する活動をしていたことがあったことから「害獣の革」に興味を抱いたことが、ソーシャルビジネスコンテストへの挑戦につながりました。

ですが、獣害対策の活動において、革の有効活用は一つのアプローチにすぎません。

コロナ禍で改めて自分の活動について考えたとき、獣害対策には、飲食業・加工品開発などで「害獣の肉」を有効活用する取り組みや、イベントの企画・講演会、レザークラフトの体験会などを通じて、課題について広く知っていただく取り組みも同時に必要だと気付きました。そうして始めた様々な取り組みは、今後も継続していきたいと思っています。

また、これまで、地域おこし協力隊の隊員として、移住希望の方や検討されている方に“移住のリアル”を伝えたり、実際の住まい探しなどを含めて個別にサポートしたりといった活動もしてきました。間もなく隊員としての任期を終えて卒業しますので、今後は、こうした移住コーディネーターのような取り組みを事業化していきたいとも考えています。

移住する方の住まい探しのサポートでは、市内の空き家を紹介することも多くありますが、目下の課題としては、そうした移住のモデルとなる宿泊施設・シェア工房などの拠点施設を整備すること。また、私自身も築50年の古民家をお借りし、リノベーションに挑戦します。

移住の方が空き家に住んでくれるようになることで、地域の空き家や過疎化といった課題解決につながります。コロナ禍で、県外から山口市への移住を検討する方が増えている今、しっかりとこの取り組みを進めていきたいと考えています。

Q5.これから社会課題の解決を目指し、ソーシャルビジネスに関わって行こうと考えている人に向けてのアドバイスをお願いします。

ソーシャルビジネスセミナーに参加して初めて「ソーシャルビジネス」というフレーズを知ったので、私にとっては難問です…。ですが、これまでの活動を振り返ってみると、はじめから社会課題の解決を目指したというより、やりたいことを突き詰めた延長に社会課題解決があったように感じています。難しく考えず、まずはやってみようと思ったことにどんどん挑戦してみられたらいいのではないかと思います。